『ほうれん草の男として』
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うまく飲み会を抜け出しはしたものの、一番手で消えた二人を仲間達は何と噂するだろうか。
実際は音さえしないが、まるで伝わってくる足音。ズンズン。
時々僕に振り返り、勝ち誇ったかのように笑い掛ける。
「さぁ元気を出して!そんな事ではほうれん草の男にはなれないぞぉ~っ!」
「ぞぉ~」
とりあえず気の抜けた気合いを入れつつ僕は従うことにした。
それにしても僕はほうれん草の男になりたいのか?
そんなことを頭に巡らせながら歩く僕の前を、意気揚々とチャコは歩いている。